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銀行はリスケに協力するのか?

住宅ローン付個人再生において、そのまま型を選択する場合にはリスケの必要はありませんが、そのまま型以外の類型を選択する場合には、リスケが必要となります。通常、リスケは金融機関にお願いしてやってもらうのですが、慣れている金融機関とそうでない金融機関とでは全く対応が異なります。慣れている場合には、リスケをすぐにしてくれますが、そうでないところは、「うちは一切協力しない」とかたくなな姿勢を示してきたりします。そういう場合には、弁護士のほうでリスケすることになりますが、実際に弁護士がリスケした再生計画案を裁判所に提出して、認可を取ろうとすると、慌てて金融機関から電話がかかってきて、「やはりうちでリスケする」と言ってきたりします。正直、「それなら最初から協力してくれ!」と思ってしまいますね。

・住宅ローン付個人再生を利用した場合にも、債権者は債務者の遅滞等について、保証人の法的責任を追及することはできるのでしょうか。
追及することはできません。本来、個人再生の手続を取ったとしても、債権者が保証人の責任を追及することは可能なのですが、住宅ローン付個人再生を利用した場合には、債務者が住宅資金特別条項に沿った返済を続けている限り、保証人は責任を追及されません。

・住宅ローンの負債しかない場合でも住宅資金特別条項付個人再生を利用できますか。
できます。この場合、「住宅ローンの取り扱い」で挙げた各類型のいずれかを選択することになります。

・もともとボーナス時に多めに支払う契約条件だったものを均等払いの形に変更することはできますか。
できます。ただし、年間の総支払額がこれまでの総支払額に比較して大幅に減少しないことが必要です。

・住宅ローン債権者が再生計画案に反対した場合、再生計画案は認められないのでしょうか。
同意型以外は、住宅ローン債権者の同意は不要ですので、住宅ローン債権者が再生計画案に反対したとしても法律の定める条件を満たす場合には、再生計画案は認められます。

・当初の契約上の最終返済期の時点で70歳を超えておりますが、再生計画案において70歳を超える形にすることはできますか。
原則としてできません。返済期間を延長できる類型であっても、法律上70歳を超えないことが要求されているからです。したがいまして、住宅ローン債権者の同意がな い限りこのような再生計画案は作成できません。

・現在、住宅ローンの対象となっている住宅には住んでおりませんが、住宅資金特別条項付個人再生は利用できますか。
原則としてできません。「自己の居住の用に供する建物」でなければならないからです。ただし、単身赴任中であるとかやむをえない事情により別居しているなどの場合には、利用できることがあります。いかなる場合に「自己の居住の用に供する建物」といえるかについては決まった基準はなく、居住できない理由、期間、住宅ローンの返済者はだれか等を総合して判断することになります。離婚後、一定期間(子供が大きくなるまで等)妻子に居住させ、期間経過後自分が居住する予定である場合についても、同様の基準で「自己の居住の用に供する建物」に該当するとされることがあります。

・住宅について、競売が申し立てられておりますが、止めることはできますか。
できます。裁判所に競売手続中止命令申し立てを行い、裁判所の中止命令を得た場合には、競売手続は止まります。

・住宅ローンについて、保証会社が代位弁済をしてしまっているのですが、個人再生の申し立ては可能ですか。
可能です。代位弁済した日から6か月以内であれば、個人再生の申し立てが可能です。この場合、巻き戻しにより、元の金融機関が再び住宅ローン債権者となります。

返せないようなお金をどうして借りるの?

新聞記事などでも時々話題になっていますが、多重債務のことを説明しましょう。多重偵務は、借入金の返済のために新たな借入れを重ねるなどして、自分の収入では支払えない状況になってしまうことをいうのですが、その原因はさまざまです。病気や失業などの不測の事態により、やむを得ず借入れを重ねてしまったケース、またライフプランがルーズなために多重債務に陥ったケースもあります。返済能力を超えているのに、何とかなると考えて借入れを重ねてしまうのです。返済の期日が迫ると、新たに借入れしてでも返済しようとして、ますます事態を悪くしてしまいます。

そんな時ほど、悪質な業者に編されやすく、十分な注意が必要です。収入に見合った債務ならいいのですが、無理な借入れは、結局、自分にはね返ることをくれぐれもお忘れなきように。キャッシングは、暮らしに役立つ便利なサービスですが、自分の返済能力をよく考え、上手に利用する必要があります。なお、JCFAでは、消費者の保護と救済の考えのもと、金融サービスに大切なアフターケア制度として、多重債務者に対し返済方法の見直しや家計管理の在り方についてカウンセリングする無料の窓口「金銭管理カウンセリングサービス」を東京(神田)と大阪(東天満)の2ヵ所に開設、専門の金銭管理カウンセラーが相談にのっています。

そのほか、予期せぬ病気や交通事故、失業など、「やむを得ない事情で返済不能となったが、債務履行のため真面目に努力している誠実な債務者」の生活再建のために、原則500万円までを代位弁済する「救済更生事業団」(大阪・天満橋)があります。どんな状態になっても、1日も早くお店か、「カウンセリングサービス」または「救済更生事業団」へご相談ください。

自己破産増加の原因は何ですか?

自己破産の申請者数がここ数年急増しつつあります。不況の長期化で、バブル期に利殖でマンションを購入していた中高年がいよいよ払い切れなくなって破産を宣告したり、リストラで給与が減ったり、解雇されて破産に追い込まれたといった例が中心になっています。消費者金融だけでなく、それ以上に、銀行の住宅ローン、信販、カードなど、複数の業界がからんだ自己破産の増加が特徴といえます。JCFAでは、1977年(昭和52年)に会員各社に対し、過剰融資などの営業姿勢についての自主規制である倫理規定を設け、それ以後、会員会社は厳しい審査による与信を心がけています。

そのため多少の差異はありますが、成約率は30~70%、つまり10人中3~7人は融資を断っているという現状です。1業者あたりの貸付金額は50万円、または年収の10%に相当する金額と事務ガイドラインで示めされています。借入申込者の収入や他社借入の有無、返済能力など、各社独自の方法で厳重な審査を実施し、慎重に契約一取引きを行っています。従って現在では、自己破産の発生に占める消費者金融の割合は、それほど大きくはありません。(株)東京銀行協会の「銀行よろず相談所」の並木和夫氏は、自己破産件数の4割は住宅ローンの「ゆとり償還」だと指摘しています。

同氏の主張はおよそ次のとおりです。「通産省や建設省が内需拡大を大声で叫び、住宅金融公庫の尻をたたき、ゆとり償還という超変則な融資返済方法を実行した行政にも、自己破産増加の責任があるといってよいでしょう。20年、30年の長期住宅ローンの返済で、最初の5年間は返済額を少額に抑えるが、6年目からは数倍に跳ね上がるという「ゆとり償還」は、返済額が少ないうちに貯蓄できそうにも感じ、一見ラクな返済方法ですが、実は物件を少しでも売りやすくするための業者思いのシステムにほかなりません。

消費者にすれば、ゆとり償還によって今まで月4万円で済んでいたローンが、ちょうど6年目を迎える1998年(平成10年)、1999年(平成11年)あたりから7万円超になり、大変なショックです。しかも給与や賞与が右肩上がりで上昇することを前提にしていたのが、経済は大きく下降し、毎月赤字が膨れ上がっていく。なるべくして破綻すると言わざるを得ません。急増する自己破産件数に占める住宅ローンの割合の高さは、実は全銀協がカウンセリングサービスを始めたキッカケの1つにもなっています。」(月刊クレジットエイジ1999年・平成11年9月号)

グレーゾーン金利がなくなることの意味

今回の改正貸金業法の実施によりもう一つ大きく変わったことはグレーゾーン金利が廃止されたことです。このグレーゾーン金利があったために、貸金業者は過去、法外ともいえる高金利を取ることができ、また、昨今は、最高裁の判例により過払い金の返還を求めることができるようになったため、全国的に過払い金の返還訴訟が急増することになったのです。グレーゾーン金利について整理しますと、グレーゾーン金利とは、もともとは、利息制限法の金利(15、18、20%)を超え、出資法上の金利(29・2%)以下の金利のことを指しました。

このグレーゾーン金利の部分については、従前は、貸金業法上の一定の要件を満たした場合には、有効な金利として、貸金業者が受け取ることを認めておりました。このため、ほとんどの貸金業者が、このグレーゾーン金利で金利を取っていたのです。なお、出資法上の金利を超えた場合には、刑事罰が科されるため、ヤミ金業者でなければ出資法上の金利を超える金利で貸し出すことはありません。しかしながら、このグレーゾーン金利について、平成18年1月13日に最高裁の判決が出され、この「一定の要件」を非常に厳しく捉えることとなりました。

通常の取引において一定の要件を満たしていると判断されることがなくなり、その結果、グレーゾーン金利は有効な金利ではないとして、全国で過払い金の返還を求める裁判が起こされることになったのです。借り手からすれば、過去支払ったお金が戻ってくるので大変喜ばしいことですが、貸金業者からすれば今まで返還を求められていなかったお金について、突然返還を求められる事態となっており、大変な逆風です。

こめような混乱が生じる原因はいうまでもなく貸金業法上のあいまいな規定にあります。そこで今回の改正により、利息制限法上の金利と出資法上の金利をほぼ一致させることで、グレーゾーン金利を廃止しました。改正前と改正後の金利の変動を表で示すと下記の表のようになります。借り手にとって、グレーゾーン金利がなくなることの意味は、今後は少なくとも20%を超える高金利で貸し付けを受けることがなくなるというメリットがあるのです。

任意の和解交渉である「任意整理」についてのQ&A

・任意整理をすると取り立ては止まりますか。
止まります。弁護士の受任通知が届いた場合には、債権者は債務者本人に対して取り立てをしてはならないとされております。

・職場や家族に知られることはありますか。
基本的にありません。弁護士が受任通知を出したとしても、債務者の勤務先や家族にそのことが伝わることは通常ありません。また、受任通知到達後、債権者が理由もなく債務者の勤務先や家族に問い合わせをすることもできません。

・任意整理によってどの程度負債が減少しますか。
約定利息が利息制限法の範囲内か否かによってどの程度負債が減少するか否かが変わります。約定利息が利息制限法の範囲内である場合には、原則として、負債が減少することはありません。ただ、一括で返済する場合には、減額に応じてくれることがあります。約定利息が利息制限法の範囲を超える場合には、借入年数がどの程度かによって変わります。借入年数が1~2年の場合にはほとんど減少しない可能性が高いです。減少したとしても1割程度です。5~6年の場合には、2~3割減少することもあります。10年を超えるような場合には、過払いが生じていることも多いです。昭和の年代から借りているような場合には、過払い額が数百万円にのぼることも少なくありません。もっとも、これらはどのような借り入れ・弁済をしているかによって異なりますので、絶対的なものではありません。

・引直後の負債額について、何年程度で返済していくのでしょうか。
一括で返済するのでない場合には、おおむね3~5年程度で分割返済していくことが多いです。10年程度の分割返済をすることもあります。分割の回数が少ない場合にはそれほど問題がありませんが、分割の回数があまり多い場合には、債権者が和解に応じてくれないこともありますので、その場合に、和解を成立させるためには、分割の回数を減らすことになります。どういう債権者がどの程度の分割返済に応じてくれるかはケースバイケースですが、消費者金融系の債権者は、3~5年というのが通常でしょう。負債額が少ない場合には「3年以内でなければ和解できない」と言ってくることも少なくありません。消費者金融系以外の業者で金額が多い場合には10年程度の分割返済で和解してくれることもあります。

・任意整理をする債権者と任意整理をしない債権者を選択することができますか。
できます。例えば、自動車ローンを組んでいるような場合には、自動車ローンを組んでいる債権者については、任意整理せず、従来どおり返済を続けることで自動車を保有し続けることができます。この点は、全債権者について申し立てをしなければならない破産・個人再生の場合と大きく異なります。また、ある債権者について、保証人をつけている場合、任意整理によって、その保証人に請求が行くことを避けたい場合には、その債権者についてのみ任意整理をしないということもできます。知人からの借金、勤務先からの借金なども同様に整理するか否かを選択できます。

・受任通知によって、債権者からの調停や訴訟などの法的手段を防げますか。
防げません。任意整理はあくまで弁護士と各債権者が裁判外で交渉するものにすぎず、各債権者の法的な権利を制限するものではありません。

・官報に掲載されることはありますか。
ありません。官報に掲載されるのは破産と民事再生の場合です。

・和解金額についてですが、最終取引日の時点での引直金額で和解するのでしょうか。
あるいは、それ以降の和解成立日までの利息もつくのでしょうか。原則として、最終取引日の時点での引直金額で和解します。依頼者の経済的負担を減らすという観点から、通常は、最終取引日(最後に返済した日あるいは最後に借り入れをした日)を基準としますが、最終取引日から和解成立まで相当の期間が経過している場合には、債権者が、和解成立日までの経過利息をつけるよう要求することがあります。この点、東京三弁護士会の基準(三会統一基準)によりますと、最終取引日以降の経過利息をつけないこととなっており、通常の弁護士も同基準で交渉しておりますが、債権者がその基準では和解に応じない場合には、依頼者と相談のうえ、依頼者の納得する金額で和解することになります。
                              
・和解金額について経過利息はつきますか。
通常つきません。任意整理の場合、弁護士と各債権者との交渉により、和解金額を確定し、その金額を月々支払っていくことになりますので、その和解金額に利息をつけることはありません。ただし、債権者によっては、経過利息をつけない限り和解しないという債権者もおりますので、その場合には、協議が必要です。また、経過利息とは別に、2回以上遅滞した場合には遅延損害金を支払うという条項は通常設けます。

・税金や社会保険料(健康保険料・国民年金保険料)も任意整理の対象とできますか。    
できません。税金や社会保険料については、自己破産や個人再生によって免責あるいは減額することはできないとされており、任意整理によっても免除・減額することは、通常できません。   

話し合いで借金が減額できる

すでに述べましたように、もともとの取引が従前の利息制限法の金利を超える場合には、引直計算をすることで金額が減りますので、借金を減額することができます。例えば、平成20年1月1日に50万円を金利28%で借り、その後2年間毎月2万円ずつ返済していった場合の残高は、以下のように24万9677円になります。これに対して、50万円で借り入れする場合の利息制限法の金利は18%のため、この金利で引直計算をすると残高は以下のように15万9466円になります。結局、この場合、24万9677円-15万9466円=9万241円減額されることになります。そして、この場合、業者と交渉する場合の金額は15万9466円かペースとなるわけです。

ちなみに、利息制限法の金利は次のようになっております。他方、当初の取引金利が利息制限法の範囲内である場合には、引直計算によって金額が減ることはないので、任意整理によって借金を減額させることはあまり期待できません。ただし、一括で支払うことを条件に8割程度に減らすことや、「この金額で和解できなければ破産する」と言って減額してもらうことも場合によってはあります。こういったことができなくとも、当面の支払いを止めたり、経過利息や遅延損害金をなくせる場合があるので、そういった点でのメリットはあります。弁護士などが交渉し、最終的に和解した場合、和解書を作成して解決ということになります。

個人再生と比べたメリットは、①任意整理の場合、整理する対象を選べるということです。個人再生の場合、法的整理のため、債権者を一律に扱う関係上、この債権者は個人再生しないということができないのです。この点は、勤務先からの借り入れがあるとか、身内・知人からの借り入れがあるという場合に問題となることが多いです。他方、任意整理の場合、勤務先からの借り入れは手をつけたくないという場合、勤務先は外すことができるのです。また、②個人再生と異なり、官報のような公の書類に名前が載ることがないので、それだけ他人に知られる可能性が低いというメリットがあります。

個人再生の場合、手続開始後3回は官報に載りますので、金融機関、官公庁にお勤めの方の場合、職場に知られる可能性がありますが、任意整理の場合には、通常整理をしたことが知られることはありません。個人再生と比べたデメリットは、①あまり借金が減らないという点です。個人再生の場合、引直計算後の金額のおおむね1~2割に減りますが、任意整理の場合、引直計算後の金額以上に減ることは原則としてありません。したがって、過去の取引が高金利でかつ長期間にわたる場合には任意整理でも大幅に減ることはありますが、そうではなく、過去の取引がそれはどの高金利ではなく、かつそれほど長期間でないという場合、任意整理ではほとんど減らないこともあります。

とりわけ法改正によりグレーゾーンがなくなって以降の現在の取引については、引直計算によっても減ることはないので、将来的には任意整理という方法はあまり意味がなくなる可能性があります。また、②任意整理の場合、裁判を止められないというデメリットもあります。個人再生の場合には、訴訟自体は止められませんが、強制執行はいずれにしても止められます。自己破産の場合には、訴訟自体も止められます。これに対して、任意整理の場合、業者が裁判を起こしてしまうと、ほぼ業者の主張する内容で和解せざるをえなくなります。信用情報機関に登録され、カードが6~7年使えなくなるという点は同じです。

「任意整理」はあくまでも任意の和解交渉

任意整理という整理方法は、裁判所を使わずに、任意で業者と交渉して、返済額・返済回数を決め、和解書・示談書を作成し、返済していくものです。本人の代わりに、弁護士・司法書士が交渉し、返済額などを決めていくことになります。この交渉には強制力はなく、あくまでお互いが合意できたときのみに和解は成立します。合意に至らないときは、そのまま何も決まらない状態が継続するか、場合によっては業者が裁判を起こし、そこで解決することもあります。任意整理の流れは、まず弁護士・司法書士が、各業者に対して受任通知(あるいは介入通知)を発送し、それに対して、各業者が取引履歴を開示してきます。

そして、債務者と各業者との取引が従前の利息制限法の金利を超える場合には、引直計算をすることによって負債が減るので、弁護士・司法書士のほうで引直計算をし、その引直計算後の金額をベースに交渉をします。もともと金利が低い場合には、弁護士・司法書士が引直計算をすることによって金額が減ることはないので、もともとの残高で交渉をします。最終的に返済額について合意が成立した場合には和解書を作成し、その後は和解書記載の返済方法に沿って返済を続けていきます。和解書については、弁護士が作成するときもあれば業者が作成することもあります。この点について決まりはありませんが、業者が作成する場合には、合意の内容に沿って条項が記載されているか確認することが必要です。どのような人が任意整理に適した人であるかについてはすでに述べておりますが、もう一度おさらいします。

任意整理が望ましいのは、次のような方です。
【取引期間が長く、かつ約定金利が高金利であった方】
引直計算により、大幅に借金が減る可能性があり、また過払いが生じている可能性もありますので、任意整理が望ましいです。

【官報に載りたくない方】
公務員などの場合、官報に載ってしまうと職場でわかってしまう場合もあります。そのような場合には、自己破産、個人再生は選択できず、任意整理を選択するしかありません。

【身内・会社からの借金については全額返済したい方】
自己破産・個人再生の場合、裁判手続を取るため、すべての借金について一律に取り扱うことになります。この借金は外すということはできません。したがいまして、身内・会社からの借金について特別扱いしたいという場合には、任意整理を選択することになります。

【家は手放したくない方(住宅ローンがない場合)】
自己破産を選択した場合、原則として資産は処分しないといけないため家だけは手放したくないという場合、自己破産は選択できません。また、家のローンがない場合、家の時価がそのまま精算価値になってしまうため、個人再生を選択しても返済額が減らない可能性が高く、個人再生も選択できません。この場合は任意整理を選択するのが一番望ましいです。家ではなくほかの資産を保有しており、それを処分したくない場合も同じです。

では、任意整理はだれに頼めば交渉できるのでしょうか。この点、任意整理は法律業務なので、すでに述べておりますように弁護士・司法書士に限られます。弁護士と司法書士の違いは、弁護士は金額によって業務が行えなくなることはありませんが、司法書士の場合には、負債が140万円を超える場合には、業務が行えないことになっております。この金額は、簡易裁判所の管轄と対応しております。簡易裁判所は、140万円までの事件を扱うこととされており、この範囲で司法書士も業務を行えるのです。

「個人再生」に関するQ&A

・何年で返済していくのでしょうか。
原則3年ですが、特段の事情がある場合には5年を超えない期間とすることができます。この場合、特段の事情があることを示す上申書などを提出します。

・認可決定後の返済ですが、申し立てからどれくらい経って始まりますか。
標準的なスケジュールですと、申し立ての約8か月後から返済が始まります。返済が始まるのは、再生計画の認可決定が確定した日の属する月の翌月からとなります。認可決定の確定日は、官報掲載から2週間後となっております。通常の流れは、認可決定が出てからおおむね2週間後に官報に掲載され、さらにその2週間後に確定しますので、その翌月から弁済を開始していくことになります。

・法人も利用できるのでしょうか。
できません。法人の場合には通常の民事再生手続になります。

・負債額が5000万円を超える場合にも利用できるのでしょうか。
できません。この場合も、通常の民事再生手続になります。

・個人再生により、税金や社会保険料(健康保険料・国民年金保険料)も減額されますか。
減額されません。税金や社会保険料については、個人再生により減額させることはできません。

・小規模個人再生において、債権者の過半数の同意は得られるのでしょうか。
多くのケースでは、賛成が得られます。これは、債権者としては、不同意にした結果、個人再生が認められず、最終的に破産となった場合には、全く返済されない可能性があり、そのような結果になるのであれば減額したとしても返済してもらったほうがよいからです。ただし、日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫)等の政府系金融機関の場合には、不同意意見を出してくることもありますので、要注意です。また、最近は、自社で過半数を占める場合には反対をすると言ってくる貸金業者もおります。

・個人再生の申し立てをした場合、債権者は①訴訟を提起したり。②強制執行したりできるのでしょうか。
①訴訟に関しては、債権者は訴訟提起することは可能です。②強制執行に関しては、再生手続開始決定により、以後、強制執行を申し立てることはできず、現在進行している強制執行は中止されます。①に関しては、訴訟を起こして判決を取っても強制執行できないので、個人再生を申し立てれば、提訴してくることは通常はありません。また、訴訟がすでに始まっているような場合には、個人再生申立後、債権者は、訴訟を取り下げることが多いです。

・再生債権について、債権者は、いつの時点までの利息をつけてくることが多いのでしょうか。
通常の業者ですと、再生手続開始決定前までの利息をつけてくることが多いです。申し立てる側からすると、できるだけ借金を減らしたいので、最終取引日までの利息で申し立てることもありますが、法律的には、再生手続開始決定前までの利息をつけることは可能なので、最終的には債権者の主張が通ってしまいます。

・知人が保証人となっておりますが、個人再生によって、保証人の負担も減りますか。
減りません。保証人だけでなく、自宅を担保として提供している物上保証人の負担も減りません。なお、保証人自身が個人再生をすれば減ります。

・自分が主たる債務者となっている負債のほか保証人となっている負債についても申し立てる必要があるのでしょうか。
あります。自分がおよそ債務者になっている負債については、すべて申し立ての対象となります。具体的には、主債務のほか連帯債務、連帯保証などです。

・時価100万円の自動車を保有しております。この自動車は処分したくないのですが、処分しなくとも大丈夫でしょうか。
処分する必要はありません。すでに述べましたように、個人再生の場合、自己破産と異なり、資産を処分する必要はありません。ただし、精算価値には含まれます。

・知人から借金があるのですが、この借金については外すことができますか。
できません。個人再生は法的整理なため、すべての借金を対象としなければなりません。勤務先からの借金なども同じです。

・勤務先に発覚しませんか。
通常は勤務先に発覚することはありません。①弁護士が受任通知を発送した後は、債権者が職場に問い合わせすることはできませんし、②個人再生申立後に裁判所などからいろいろな書類が送られてきますが、それらは通常弁護士のもとへ送られてきます。また、③官報については、普通の会社であれば官報を細かく調べるということはしないので、官報を通じて発覚することは通常ありません。もっとも、職場が金融機関であったり、役所である場合には官報を通じて発覚する可能性はそれなりにありますので、注意が必要です。なお、勤務先からの借金がある場合には、勤務先を債権者として申立書に記載し、その結果、裁判所から通知が届きますので、当然発覚してしまいます。

・再生計画案を提出する段階になって、他にも債権者がいることがわかりました。この債権者について、どのように取り扱えばよろしいでしょうか。
個人再生の場合、債権届出期間後の債権者の追加は認められておりませんので、再生計画案に追加することはできません。ただ、自認債権として、ほかの債権者と同じ返済率で返済していくことになります。実質的にはその分返済額が増えることになります。例えば、もともと500万円の借金があり、それが個人再生により100万円(最低弁済額基準)になったとして、他にも50万円の借金があったことが再生計画案提出段階で判明した場合、この50万円について、別途10万円を支払うことになります。

・再生計画に沿って返済中です。返済期間は3年です。今回、ボーナスが多めに出たので。まとめて返済することはできるのでしょうか。
できます。遅滞にならない限り、どのような返済をするかは再生債務者に任されております。

・小規模個人再生において、再生計画案が不認可となった場合、どうなるのでしょうか。
申立人が自己破産を望む場合には職権破産に移行します。自己破産を望まない場合には、給与所得者等再生あるいは任意整理を選択することになります。

・投資用の物件については、住宅ローン付個人再生を利用できますか。
できません。「住宅ローン付個人再生を利用できるのはこんな場合」で述べたように、居住用の物件に当たらないからです。

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